季節の香り

彼女は季節の変わり目、元気がなかった。

桜が葉桜になる頃の新緑の香り

梅雨の鬱陶しい雨の香り

秋の金木犀の香り

「この香りが嫌い」

といって塞いでいた。

 

本当に生きづらそうだった。

 

その代わり、素晴らしいものに出会った時の

無邪気な笑顔が素敵だった。

この顔が見られるのなら、

彼女を憂鬱にさせるものから

守ってやりたいと思う。